米国の特許制度と、日本の特許制度は、同じか、全く違うか
2019年02月01日
ある方が、米国の特許制度と、日本の特許制度は、全く違うと言われました。私が、米国と日本とでは、違いはあるものの基本的には同様であると話したからです。その結果、米国の特許制度と、日本の特許制度とが同様であると考えるようでは話しにならないとも言われました。
両者は同じではありません。これは確かなことです。ですから、違うというのは正解だと思います。一方で、全く違うかと言われると、それは主観的な判断にならざるを得ないと思います。
当然ですが、米国でも、日本でも、新規性、進歩性がある発明だけが、特許になるという特許の根幹部分は同じです。この根幹部分が同じである以上、特許制度は違うとはいうものの、基本的には同じと言えると思います。
そして、この根幹を前提として、米国にも、日本にも、それぞれ例外がありますから、そういった例外「だけ」をみれば、全く違うということになります。
新規性の場合、米国は、自ら公開してしまった発明でも、1年以内なら特許になる余地がありますが、米国以外の多くの国では、その余地はほぼありません。ただし、日本では、新規性喪失の例外という例外的な扱いがありますので、それにあてはまれば、特許になる余地はあります。この例外的な扱いの一部は海外でも通用するのですが、残りは海外では通用せず、特許になる余地はありません。これらの違いはありますが、あくまでも例外の範囲のことです。
公開してしまってもすぐに諦める必要はありません。ですが、我々にきちんと相談してください。詳しく事情を聞くことで、良い方法を見つけられるかもしれません。
確かに、日本では新規性喪失の例外の適用範囲が広くなりました。なので、日本国内での特許出願はできるケースが多々あります。しかし、その一方で、外国ではその例外が適用されないというケースの方が多いのも現状です。
ときどき、「特許出願が完了する前に、他の方に見せたいが良いでしょうか」と尋ねられることがあります。例外に該当するようなケースであっても、やはり出願してから見せるのが安全です。事実は小説よりも奇なりというように、世の中では全く予期していなかったことが起きるものです。従いまして、「そうは言っても、新規性を失わないで出願することを目指される」のがお勧めです。
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